東京の感染者数を5週間ぶん予測した (8月11日版)

※ 8月18日版を公開しました knoa.hatenablog.com


前回の予測

前回、8月4日の5週予測のうち、1週目の週平均は予測32808人→現実31151人となりました。

予測日-7/04-7/11-7/18-7/25-8/01-8/08
7/06 700018569388906609375440
7/13 15060245003490234228
7/21 266933145230849
7/28 3145828408
8/04 32808
現実 3380805416216259273211631151

(スマホなど小さな画面でご覧の方は、隠れてしまった表の中身を左右にスライドさせることができます)

人流の影響を3週前から2週前へ修正する前の、7月6日の予測とはズレが大きくなっています。


今回の予測

(注: 東京都の独特なデータ公開形式の都合で、週の区切りが火曜から翌週月曜までであることに注意してください。グラフ中の「-8/15」は「8/09(火)-8/15(月)」の7日間の週平均を指します)

前回と同様に、8月上旬のピークを越えて、大きく減っていくという予測です。ただし、お盆の影響をより悲観的に見直したことで、下り坂の形が大きく膨らんでいます。これは感染状況や医療の逼迫が伝えられる中でも、なお帰省が昨年に比べて大きく回復しているとの報道によります。

本日の山の日も含めたお盆の影響は、明日以降の減少と、その後の一時的な増加という形で現れるはずですが、正月やゴールデンウィークなどと共に、予測の難しい時期となっています。(帰省の人流が交通機関の予約状況などからデータ化できれば助けになるとは思いますが、本予測では都心の繁華街しかデータ化できていません)


BA.2.75 (ケンタウロス)

引き続き、データが不足して予測に組み込める状況ではありません。が、少なくとも東京においては、BA.5の増加の割に、BA.2.75の検出数は相対的に極めて少なくなっています。インドではBA.5に対する優位が現れてきましたが、世界的に見ると、流行していると言えるのは依然としてインドだけとなっています。


予測の条件など

「祝日や連休など」のパーセンテージを除けば、前回と同様です。(詳細: 3週前の人流がデルタ株の増減と最も相関していたという解説)

  • 変異株ごとの前週比
    BA.2の前週比に対してBA.2.12.1は1.4倍、BA.5は2.25倍。現実には曲線になると思われるが、BA.2の前週比1.0倍付近では近似できるとみなしている。
  • 2週前の人流
    1週前×1 + 2週前×3 で、実質1.75週前の人流と前週比を対応させている。12日くらい前をピークにした正規分布のほうがより適切だと思われるが、労力の都合で人流データを週単位でしか取れていないので、苦肉の策。厚労省のアドバイザリーボードの資料または都のモニタリング会議の資料から、繁華街の滞留人口を人力で(!)読み取っている。
  • 3週前の感染者数
    3週前の感染者数によって、2週前の人流が変動するという仕組み。以前の予測では感染者数の「最大値が前週比に影響する」としていたが、「週合計が人流に影響する」ほうが現実に即していたので変更した。
  • ワクチン接種
    個人単位では (1-(経過週数/56週))1/4 の曲線で効果が減衰するものとする。都民全員がワクチンと自然免疫を同時に獲得した直後の集団免疫を仮に200%とし、減衰後の 1-(集団免疫/200%)2 だけ前週比が減るものとする。これはワクチンと自然免疫の重なりをひとまとめに扱うための便宜的な近似。また、仮に経過週数が同じなら、対デルタに比べて対オミクロンの効果は80%とする。これらは前週比に与える影響自体は大きいが、週単位で大きく変動するわけではないので、5週予測の精度というよりも、過去の感染の波との整合性に影響している。(大局的な齟齬がなければ、これらの計算式は週単位の予測にはあまり影響しない)
  • 感染による自然免疫
    発表の4倍の感染者数を想定。効果はワクチンと同等とみなす。5週予測に与える影響もワクチンと同様。
  • 入国者数(海外渡航歴のある感染者)
    感染者の絶対数が少ない時期ほど、BA.2の前週比の割にBA.5の前週比が前述の倍率より高くなりやすいので、入国によるかさ増しを想定している。
  • 祝日や連休など
    祝日は休診の影響でいったん感染者数が減り、逆にその後は休診明けのリバウンドと行楽などによる感染増で感染者数が増えるものとする。月曜と金曜の違いや連休日数に応じて、3.5%から35%までの幅で決め打ちしているが、まだ改善の余地がある。


他の予測など

今週は、CATsによる予測が毎日更新されているのみで、いまのところ内閣府のAI・シミュレーションプロジェクトの更新はありませんでした。(敬称略)

※ 特に断りがない限り、感染者数はいずれも7日平均なので、祝日などによるブレがなければ1日単位の最大値はその1.2-1.5倍くらいになることが多いです。

※ 感染者数のピークを過ぎたので、各予測の内容は、ピークの代わりに適宜指標を決めて紹介していきます。

  • 東京都のコロナ新規感染者数(第7波)は「減少加速」 (CATs)
    8月01日: 東京都は8月上旬にピークで3万4000人
    8月02日: 東京都は8月上旬にピークで3万3000人
    8月03日: 東京都は8月上旬にピークで3万5000人
    8月04日: 東京都は8月上旬にピークで3万3000人
    8月05日: 東京都は8月上旬にピークで3万3000人
    8月06日: 更新なし
    8月07日: 更新なし
    8月08日: 東京都は8月31日時点で2万0000人
    8月09日: 東京都は8月31日時点で2万0000人
    8月10日: 東京都は8月31日時点で1万9000人
    8月11日: 東京都は8月31日時点で1万8000人
    8月12日: 東京都は8月31日時点で1万6000人
    8月13日: 更新なし
    8月14日: 更新なし
    8月15日: 東京都は9月7日時点で1万3000人
    8月16日: 東京都は9月7日時点で1万4000人
    8月17日: 東京都は9月7日時点で1万3000人
    ※毎日更新されるが、同じURLで記事が上書きされてしまうので、可能な範囲で記録に残してリンクしている。


あとがき

BA.5の感染力、重症や死者数、ワクチンの追加接種などの考察は、7月6日版の記事に書いています。

ここに載せていないものも含む各種グラフは、毎日更新しています。