東京の感染者数を5週間ぶん無理やり予測した (12月29日版)

まえがき

これまでの予測の大きな柱のひとつであった「感染者数が増えると、都民が自粛して人流が減る」という関係性が、特に第8波になってまったく破綻してしまいました。(感染者数が増えているのに、人流は減っていない)

厚労省の繁華街滞留人口資料より

また、国や都が発表している変異株のデータも、「多くの新興変異株が乱立している」「データ公開形式が整っていない・精度が悪い」などの理由で、予測に活用するには心もとない状況です。

しかし「減るのか増えるのかも分からない」というほど真っ暗闇というわけではないので、可能な範囲で予測を公開しておきます。


予測

ただし、下記のような無理のある前提に基づいています。

  • 感染が拡大しても、人流が高いレベルを保ち続ける
    医療崩壊が報じられるほどになっても人流が減らないというのは、予測としては悲観的。
    ※ 年末年始の人流は、過去4年分のJR東日本・東海・西日本の座席予約数(499万-190万-277万-337万)を参考にした。
  • 変異株を既存株と新興株の2つにまとめて単純化する
    ※ 本来は相対的に感染力の強いものに収斂していくはずなので、感染力の違うものをまとめると予測としては楽観寄りになりうる。
    ※ 「国立感染研が公開する東京都のゲノム解析」「都のゲノム解析」「都の変異株PCR検査」は、変異株系統の分類に統一性がないばかりか内訳もそれぞれ大きくズレているので、まだしも統計的誤差が少ないと思われる「都のゲノム解析」に基づいて計算した。

精度は過去の予測に比べて相当悪いはずですが、「ピークが2倍や半分にはならないだろう」くらいには思っています。

年明けの急増は極端に見えますが、これは休診明けのリバウンドによる影響が大きいためで、2年前の推移や、1年前の「オミクロンを除いたデルタ株だけ」の推移に近いです。

グラフに示したのは週平均でピークは3万3000人としていますが、具体的な1日単位のピークは1月7日(土)ごろ、または1月12日(木)ごろに4-5万人、その後は順当に減少に転じるという内容です。(年末年始をこれほどの規模の感染者数で迎えたことがないので、検査体制が需要に見合わない可能性もあります)

今回、人流は一定という前提なので、減少の原動力はワクチンや感染による獲得免疫になっています。


医療負荷

通常医療への影響は第6-7波を上回る規模になる可能性があります。というのも、感染がじわじわと増えてきた分、直近の医療負荷の蓄積が大きく、年末時点ですでに実質的な病床限界(4000床)に達しているためです。公称の確保病床は7000床を超えていますが、これが現実にどれだけ機能するのかは、懐疑的に見ています。

ひとつだけ良かったのは、今回は「ワクチンの接種時期が流行に(どうにか)間に合った」と言える点です。「前回接種からきっちり5ヵ月待ってもらう」という非効率を廃止し、期間を3ヵ月に改めたた成果だと思います。


新たな変異株

感染爆発している中国がゲノム解析を中止してしまい、未知の危険な変異株の発生に警戒しているところですが、いっぽうアメリカで急激にXBB.1.5が増えています。重症化リスクが増しているなどの報告はいまのところありませんが、新しい変異株が生まれ続ける現実と、これからも付き合っていくほかなさそうです。

※ 追記: XBB.1.5は既に日本でも1例だけ報告されていました。アメリカからの入国は基本的に素通しなので、流入は防ぎようがないと思われます。


他の予測


あとがき

第7波での予測結果は、こちらでご確認いただけます。 knoa.hatenablog.com

予測以外の各種最新のグラフは、こちらのページで毎日更新しています。 f.hatena.ne.jp